本の感想。
『ユニクロ帝国の光と影』横田増生 著。
ユニクロ、自分も時々利用しますし、子供服に関してはレギンスに靴下等々、大変お世話になっています。
タイトルの「光と影」、「光」は目覚ましい業績の部分。じゃあ、「影」は?とちょっと興味を抱いたので読んでみました。
ユニクロで働く人
店長の労働時間がえげつなかったです。
ユニクロの元店長のインタビュー記事↓
「ユニクロの店長だったときは、毎日一五、一六時間は働いていましたね。それが何年も続いたので、肉体的にも精神的にもヘトヘトに疲れ果てていました。辞める前は、誰でもいいから、オレを殺してくれ!って思っていたくらい追いつめられていました」
しかも、ユニクロの店長の権限は「人件費を削ることのみ」ともあり↓
店長に売り上げ目標を決めることや、店独自の品ぞろえをする権限が与えられていないとすると、店長にできることは何が残っているのか。
<販売費および一般管理費>の中でも、広告販促費や販売費、設備費においても店長に権限はなく本部で決まっている。
店長の裁量として残るのは人件費の部分だけである。
本人は長時間労働をしながら、人件費を削るためにアルバイトのシフトに頭を悩ませるという・・・もう、聞いただけでつらそうな仕事内容でした。
ZARAとの違いが分かりやすかった
この本を読むまではユニクロもZARAも同じような企業だと思っていました。
が、第7章の「ZARAという別解」を読んで、違いに驚きました。
ZARAは、あえて、”売切れ御免”の手法をとる。
ファッション商品を少量に限定して作ることが、商品の付加価値と顧客満足度を高めることにつながると考えるからだ。
・ユニクロ:少ない品数を大量生産
・インディテックス(ZARA):品数を多く、小ロットで生産・売切れたら終わり
たしかに、買うか迷ったときに「次にお店に行った時にはもうないかも」とお客に思わせるのは強みです。
また、少量で売り切れ御免ということは「他者とカブリにくい」という強みもあります。
ユニクロは粗利益の低さを人件費を抑えることでカバー
粗利益率が低かったファーストリテイリングが、営業利益率においてインディテックスを逆転するのはなぜなのか。
それは、ファーストリテイリングの販売管理費が低いからに他ならない。
言い換えれば、ファーストリテイリングは、粗利益率の低さという商品の魅力の乏しさを、人件費を含めた販売管理費を低く抑えることで埋め合わせており、その結果、一六パーセント台という高い営業利益率を維持しているといえる。
ユニクロは9割非正規雇用、工場は人件費の安いアジアの国に委託ということで、人件費を削って削って、営業利益率を上げているようです。
ユニクロに興味のある方にお勧め
他にも、ユニクロの成り立ち、中国の工場で働く人のインタビュー、執行役員が次々辞めていることなど、興味のある方にお勧めです。
ユニクロに関しての本ですが、個人的にはZARAについての項目が一番興味深かったです。
この本を読んで、なんだかZARAに行きたくなりました。
そういえば、映画シンゴジラでパタースン大統領特使(石原さとみさん)も「ZARAはどこ?」って言ってました。
あのシーン、最新のおしゃれなデザインの服がそこそこのお値段で手に入るZARAならではのセリフ。
「ユニクロはどこ?」では成立しない。