本の感想。
『シーソーモンスター』伊坂幸太郎 著。
久しぶりの読書感想です。
内容は2部構成で、前半の「シーソーモンスター」と後半の「スピンモンスター」に分かれています。
最後まで読んで知ったのですが、この本は中央公論新社130周年を記念して発刊された『小説BOC』の「螺旋プロジェクト」の1作のようです。
「螺旋プロジェクト」は複数の作家さんであるルールを基に古代から未来までの日本を舞台に描かれた競作企画、とのこと。
この中の「昭和後期」と「近未来」が伊坂さんの担当だったようです。
ちなみに「昭和後期」は「シーソーモンスター」、「近未来」は「スピンモンスター」となっており、この2作品の間に「平成」の『死にがいを求めて生きているの』(朝井リョウ 著)が入る模様。
ルールのある企画物ですが、冒頭から伊坂作品らしく、夫が同僚に自分の妻と母の嫁姑問題を愚痴るところから始まって、その後、「妻の元の職業がスパイ」という事実が明るみになり、一気にお話が剣呑な方向へ舵を切るという・・・この急に剣呑になる感じ、好きです。
義母が嫁を助けに来て「あのね、うちの嫁に何してくれるのよ」というシーンが好き。
後半の「スピンモンスター」では前半で嫁だった都さんがおばあちゃんになって登場します。
「ちょうど動けなく?」
「関節を外されたのと、あとは、顎を打たれて失神だ。意識が朦朧としているんだろうな、そいつらは婆さんにやられたと思ってるらしい」先輩が笑う。
「おばあさんですか」
「その絵本作家だよ。そんなに手ごわい婆さんがいるなら、スカウトするっての」
「ですよね」絵本を書かせている場合ではない。
おばあちゃんになっても強かった・・・。
久しぶりの伊坂作品、楽しく読めました。
2作品の間に入っている朝井リョウさんの本も読んでみたいです。